
NTTは世界で初めて、人の動作に生じる「ばらつき」と密接に関連する要因が、脳から筋へ送られる筋活動の“タイミングの乱れ”であることを解明しました。専門的な話ではありますが、xのOGPは15万ビューを超えており、人々の関心は高いテーマです。
「人間の動作にばらつき」というのは、同じ力を入れて同じ動作をしたつもりでも、同じ結果を出せないことをさします。
野球における投手の投球&スイング、ゴルフのティーショット・パッティング、ビリヤードのショット、楽器の演奏(特に管楽器・弦楽器)、書道・絵画の筆致、料理の味付け(塩加減など)など、その「ばらつき」に悩んだことのない人は皆無であると思います。
同じ字を繰り返し書いても、コピーしたように全く同じ字は2度と書けないですよね。
毎回微妙に違います。一期一会(笑)
これらは、人間が物理的・機械的ではない「生物」である以上、避けて通れない「揺らぎ」であるといわれてきました。
では、どうしてその「揺らぎ」が生じるのか、ということを解明したNTTの研究報告が話題になっているのです。
「ミス=力の入れすぎ」は間違いだった?
今日の情報源です。
NTT、人の動作はなぜ"ばらつく"のか 脳の仕組みを世界初解明 https://t.co/L2ZLvsufPv pic.twitter.com/xTWL8OUZyZ
— Impress Watch (@impress_watch) March 10, 2026
これまで、ダーツやゴルフなどで、「同じように体を動かそう」と思っても毎回少し違う動きになってしまう運動のミスやばらつきは、脳から筋肉に送られる指令の「強さ」が毎回バラバラになってしまう「力の入れすぎ」や「筋力のムラ」が原因だと考えられていました。
しかし、NTTによる世界初の研究で、動作を狂わせる真の要因は、筋活動の「強さ」ではなく、脳から送られる指令の「筋肉に力を入れるタイミングがわずかにズレてしまうから」ということを、世界で初めて科学的に証明したというニュースです
なぜタイミングがずれると思い通りに動けないのかというと、人間が一つの動作をする時、実は複数の筋肉を協力させて動かしています。
脳はそれぞれの筋肉に対して、「いつ(タイミング)」「どれくらい(強さ)」という2つの指令を出しますが、この「いつ動かすか」というタイミングがわずかにズレてしまうため、前回と完全に同じ動作を再現することが難しくなってしまうということです。
この発見は何に役立つのか?
この発見によって、たとえばスポーツ・アスリート向け(例:テニスやゴルフ)の対策が考えられます。
動きのばらつきから「その人のスキルの特徴」を可視化できるため、より上達しやすいトレーニング方法の提案に繋がる可能性があります。
これまでは、「理屈じゃない。素振り1000回やって体で獲得する」なんていって闇雲に反復練習していたのを、自分の「タイミングのクセ」を修正する効率的な訓練が可能になります。
要するに、根性でそんなに振らなくても良くなるわけです。
そして、これまでなら、「センス」や「素質」など、あたかも努力ではどうにもならない領域に思われていたものを、タイミングの正確性として数値化して改善できるわけです。
また、NTTは、運動のばらつきが「筋活動強度の乱れ」ではなく「筋活動タイミングの乱れ」と強く相関していることを世界で初めて実証したことで、従来の脳運動制御理論を刷新することが考えられます。
運動機能に障がいを持つ患者の状態を正確に評価する指標になったり、障碍を改善させるための新しいリハビリ手法を確立したりなど、「医療・リハビリへの応用」が期待されています。
漠然と歩行練習をさせるのではなく、どのタイミングでどこに力を入れるべきか、ということが明らかになったうえでのトレーニングなので、より的確で効率的なリハビリになる期待が持てます。
誰もが「天賦の才」を合理的に体得できる日も……
「なぜ人間は同じ動作を繰り返せないのか」という根源的な問いに対し、NTTは脳信号のタイミングという明快な答えを提示しました 。
この発見は、単なる科学的解明に留まらず、将来的にスポーツや医療のあり方を根底から変えるポテンシャルを秘めています。
とくにスポーツ。これまで、「天賦の才」といわれていたことが、合理的トレーニングにより、あっさり誰でもできるようになるかもしれないのです。
「自分はセンスがない」と諦めていたその動作も、実は脳の「タイミング制御」のクセを知ることで克服できるかもしれません。
NTTは今後、このタイミングを司る脳の部位や神経表現をさらに解明していくとしています 。脳科学が「スキルの正体」を解き明かすことで、誰もが「思い通りの体」を手に入れられる日が近づいています。
もし、自分の『動きのズレ』を数値で確認できるようになったら、みなさんはどんなスキルを磨きたいですか?

カラー図解 脳の教科書 はじめての「脳科学」入門 (ブルーバックス) – 三上章允


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