
日本には戦没者を追悼する施設がいくつかありますが、中でも「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」と「靖国神社」はよく比較されます。特に靖国神社への政治家の参拝は、国内外で賛否が分かれるテーマです。この記事では、両施設の違いや、なぜ靖国神社参拝が問題視されるのかをまとめました。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、第二次世界大戦で海外の戦地で亡くなり、身元が不明であったり、遺族に引き渡すことができなかったりした軍人、軍属、一般邦人のご遺骨を安置するための国の施設です。
靖国神社は、戦没者の「みたま(御霊)」を祀る神道の宗教施設である点が大きな違いです。
ご存知と思いますが、神道は、「死」は「穢れ(けがれ)」であると捉えるため、遺骨を神社に安置することはありません。
ですから、まさに「みたま(御霊)」という信仰上の概念のみが祀られています。
ですから、靖国神社はあくまで特定の宗教法人であり、公職にある者が、公式に参拝することは憲法違反であるという議論があります。
また、神道を信仰していない人や、そもそも無宗教の人など、すべての国民が納得できる追悼の場所ではないという意見もあります。
そして、靖国は1978年に戦犯が祀られたことで、さらに政治家の参拝が疑問視されています。
例によって、参政党が、日本人として靖国に参拝するとイキんでいますが、千鳥ヶ淵をスルーして、靖国に行くのは、何らかの意図と示唆に基づいていると見なければ道理がありません。それとも、例によってただの無知か。
国民の中にも、靖国神社参拝を反対するのは「左巻き」だの反日だのハチノアタマだのと、イデオロギーに絡めて口角泡の説教をしてくる人がいるのですが、いやいや、そういうことじゃなくてね、特定の信仰に基づく施設と、全戦没者を宗派を問わずに祀るところがあるのに、特定の信仰の方に重きを置くのはおかしいでしょって話なんです。
たとえば、中国や韓国嫌いで「保守」を自任する井川意高さんが、靖国に参拝しないのはご紹介したとおりです。
大東亜戦争
太平洋戦争は
侵略以外の
なにものでもない
帝国陸軍が大陸利権
帝国海軍が南方利権結果
日本人だけでも
310万人
それ以外のアジアで
910万人が死に
日本の皇統
国体も
危機に瀕した植民地を解放したなど
あとづけ
もしも
日本が勝っていたら
欧米に代わって
アジアの盟主
という名の… https://t.co/sQFBvWhfMj— 井川 意高 サブアカ改め本アカ (@IkawaMototaka) August 2, 2025
つまり、中韓がヤイのヤイの言うからではなく、日本人保守だからこそ靖国には参拝できないという意見もあるということです。
全日本仏教会、浄土真宗本願寺派(西本願寺)、真宗大谷派(東本願寺)は、公式サイトでも旗幟鮮明に政治家の靖国参拝に反対しています。
それは別に、仏教が「左巻き」だからとか、中国や韓国に屈服したからとかではなく、政教分離と、戦前、仏教も戦争阻止を行わずに協力する側に回った痛恨の事実から、自己批判を込めているのです。
国が管理している代表的墓苑施設は千鳥ヶ淵
天皇陛下は靖国神社ではなく千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を参拝されます。議員、いや日本人ならまずそちらを参拝すべきです。なぜなら靖国神社は一宗教法人、つまり私営ですが、千鳥ヶ淵墓苑は日本国が管理する国民公園であり、軍人だけでなくすべての戦争犠牲者を追悼する場所だからです https://t.co/911icLS2pG
— 町山智浩 (@TomoMachi) August 11, 2025
さらに言えば昭和天皇も1978年以降は靖国参拝をしていない。理由はこの年に東京裁判で処刑された東條英機などのA級戦犯が靖国に合祀されたから。上皇も今上天皇もその意思を継いでいる。参政党支持者はこの事実を厳粛に受け止めてほしい。 https://t.co/jXbKTPkpVc
— silkmissile2025 (@silkmissile2020) August 2, 2025
靖国参拝に前向きな議論があるのは承知していますが、少なくとも言えることは、海外を含めた戦没者を対象とした、国が管理している代表的墓苑施設は千鳥ヶ淵だけだということです。
天皇は、靖国神社は参拝されず、千鳥ヶ淵の戦没者墓苑は参拝されます。
いわゆる極右政治家とは、異なる対応ですね。
靖国にいかずば日本国民にあらずという人は、この事実を考えたほうがいいと思います。
それ以外には、沖縄戦における戦没者のご遺骨が埋葬されている、沖縄県糸満市の平和祈念公園内にある国立沖縄戦没者墓苑も国の施設です。
また、ご遺骨を埋葬する施設ではありませんが、国が管理する戦没者の追悼施設として、戦後強制抑留及び引揚死没者慰霊碑苑地(東京都)などがあります。
さらに、厚生労働省のウェブサイトによると、硫黄島やフィリピンなど海外の各地域にも、戦没者慰霊碑が多数建立されており、これらも国が管理しています。
政治家なら、こうした国の施設の方にどうして参拝しないのか、という声があるのはもっともなことで、そこに「右」も「左」もありません。
むしろ、イデオロギーの違いで誤魔化そうという意図すら勘ぐらせます。
そもそもイデオロギーと言うなら、当時、戦争に反対していたのは非合法の日本共産党だけで、立憲民主党や国民民主党などの先祖に当たる社会大衆党は、大政翼賛会に入って戦争を遂行していた側であることも知っておいていただきたいものです。
つまり、与党も野党も戦争に向かっていったのです。右も左もあったものではないかったのです。
参拝するときは鳥居に一礼しよう
昭和天皇がA級戦犯合祀後一度も靖国神社を親拝していない理由を学んだ保守の政治家は、#天皇親拝 が復活するまで靖国神社は参拝しません。靖国通りを挟んだ逆側の #千鳥ヶ淵戦没者御苑 には毎年、天皇陛下は参られていますよ。自分たちが、エセ保守だという????を晒したいですか? pic.twitter.com/NxZAVYy181
— どらえもん2 (@matsudadoraemo1) August 11, 2025
これはもちろん、一般人が靖国神社に行ってはならない、などと言う話ではありません。
1.戦没者を祀る無宗教の国の施設には千鳥ヶ淵があること
2.政治家の靖国参拝に反対する国民を非国民呼ばわりすることの矛盾
を述べているだけです。
私も、神保町に行ったときは、靖国神社まで足を運ぶことがあります。
もちろん、鳥居では一礼しています。
信仰があろうがなかろうが、誰が祀られていようが、その宗教の礼儀を守ることは、もつべき当然の良識と思うからです。
みなさんは一礼されていますか。

靖国と千鳥ケ淵 A級戦犯合祀の黒幕にされた男 (講談社+アルファ文庫 G 283-1) – 伊藤 智永


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