
久しぶりに、興味深いYouTube動画をシェアします。中年層やシニアに見られる発達障害の5つのサインについて解説しています。塩釜口こころクリニック(名古屋市)院長・精神科医さわさんのチャンネルです。
発達障害は、生まれつきのものですが、成人になってから診断されるケースがあるとし、動画ではそのきっかけとなる5つの特徴を紹介しています。
前半では、アルコール依存、うつ病、自殺願望といったネガティブなサインを挙げており、これらが生きづらさの背景にある発達特性と関連している可能性を説明しています。
後半では一転して、一つの趣味を極める能力や、管理職として高く評価されるといった、ポジティブな特性についても触れ、発達の特性(ユニークさ)を活かすことの重要性を説いています。
最後に、医師自身の子育て経験を交えながら、発達ユニークな人々が生きやすい社会への願いを込めた自身の著書を紹介し、締めくくっています。
発達障害は3種類の障害の総称
発達障害は、主に、以下の3つに大別されます。(DeepSeekより)
1. 自閉スペクトラム症(ASD)
特徴:
社会性と対人関係の困難(相手の気持ちを読む、暗黙のルールを理解するのが難しい)
コミュニケーションの困難(言葉の字義通りの理解、独特の話し方)
興味・活動の偏りとこだわり(特定のものへの強い没頭、習慣や手順への固執、感覚過敏/鈍感)
キーワード: 空気が読めない、独特のこだわり、感覚の違い
2. 注意欠如・多動症(ADHD)
特徴:
不注意(ミスが多い、物を忘れる・なくす、集中が続かない)
多動性(じっとしていられない、落ち着きがない)
衝動性(順番待ちが苦手、思いつくとすぐ行動する)
キーワード: 忘れっぽい、落ち着きがない、思いつきで行動
3. 限局性学習症(SLD)/学習障害(LD)
特徴:
全体的な知的発達に遅れはないが、「読む」「書く」「計算する」 などの特定の学習技能に著しい困難がある。
読字障害(ディスレクシア):文字を読むのが困難
書字表出障害:文字を書くのが困難
算数障害:数の概念や計算が困難
キーワード: 読み・書き・計算の特定分野のみが極端に苦手
こうした所見は、子供のうちにわかるものですが、2005年(今から20年前)に発達障害者支援法が施行されるまでは、発達障害に対して医師ですら積極的な関心を持たなかったため、40代以上の人は、おとなになってから自覚症状を相談して診断されるケースがあるといいます。
3つのネガテイブと2つのポジティブ
「でも、それまで生きてきたんだら、ほっといても、別に大丈夫なんじゃね」
と思われますか。
動画では、中高年になってから現れる発達障害の兆候や特性は、ネガティブなサインとポジティブな特性に分けて紹介されています。それが全部で5項目で、タイトルの「5つのサイン」というわけです。
「ネガティブ」の「3つ」合は、「生きづらさ」から、アルコール依存症、うつ病、自殺願望などにつながるので、早期診断は重要であるとしています。
生きづらさの背景には、全員ではないものの、発達障害や境界知能といった神経発達上の特性が存在することが多いと指摘されています
うつ病と診断される場合であっても、そのベースには発達の特性があり、それが原因で定型発達(健常)の人に比べて、集団生活や社会生活において非常に高いストレスを受け、結果としてうつ病を発症してしまうケースがあるといいます。
そして、発達障害の傾向があると、「自分はもうこの世の中にいてはいけない」といった考えが頭から離れなくなり、人生を終わらせるという極端な選択肢に走ってしまう方もいるそうです。
一方、ポジティブな「2つ」の特性としては、 一つの趣味を極める(プロ級の腕前)、管理職として高く評価される、といったことを挙げています。
特にASD(自閉症スペクトラム)の「こだわり」の特性がある方に多く見られるサインだそうです。
「管理職」は、システム管理、経理、品質管理など、高いレベルでの管理が求められる分野で能力を発揮すると動画では説明しています。
動画では、これらの発達の特性を「ユニークさ」とも呼び、人間には誰しも得意な部分と苦手な部分があるため、得意な部分を伸ばし、苦手な部分は悲観せずに人に頼り助け合って生きることが、誰もが生きやすい社会につながると述べています。
発達障害という診断の確立は「良いこと」
一部には、現代は発達障害という診断をでっち上げて、診断名をを増やしている、などという無理解極まりない意見もあるのですが、何十年にもわたる世界中の科学的研究と、特性で生きづらさを感じている多くの人々の実存を無視する、極めて無責任で無知な意見です。
無知にもほどがあります。
「診断名が増えている」のではなく、人の生きづらさの原因について、「認知度と理解が進んだ」のです。
つまり、人類にとってよいことなのです。
発達障害は、国際的な医学基準で認められた、生来的な脳機能の違いです。
上記のように、早期発見は重要ですし、何かひとさまとのやりとりがうまくいかなくても、人格ではなく障害由来であることが明らかになれば、その人の名誉も守られることから、医師は積極的に障害者手帳をとることを勧めています。
外聞悪いとか思わないで、自覚症状のある方は、診察を受けられることをお勧めします。

大人の発達障害 仕事・生活の困ったによりそう本 – 太田晴久

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