梨元勝さんに聞く

梨元勝さんに聞く

発表リリースとか、クラブの協定とか、もらい下げの情報で済ませちゃダメですよ

ー梨元勝さんにみおなおみが聞く(『紙の爆弾』の抜粋)

 

編集プロダクション、市井文化社では、梨元勝氏にインタビューを行った。

みおなおみ ではよろしくお願いします。

 

梨元勝 キョーシクです。いや、ホント、なんでも聞いてください。なんでも答えちゃいます。何しろボクは、家で妻から「あなたは喋りすぎだから10あるうちの6か7ぐらいでいいの」と言われてるのに、つい12ぐらい喋っちゃうくらいですから。

 

みおなおみ ははは。そうですか。じゃあ、ありきたりですが、芸能レポーターになられたきっかけから.....

 

梨元勝 それがねえ、「ものの弾み」みたいなもんですよ。本当はサービス業がやりたくてねえ。学生の頃は、近畿日本ツーリストで添乗員のアルバイトをやってましてね。そういう仕事は人に喜ばれるじゃないですか。ボクは八方美人なんでね。そういう仕事がいいなと思っていたのが、たまたま先輩の紹介で『ヤングレディ』の仕事をすることになったんです。

 

みおなおみ それが記者生活の始まりですね。

 

梨元勝 『ヤングレディ』は当時、『ギャングレディ』なんて呼ばれていましてね。企画会議に出たら即記事になってしまう厳しい環境で、人間を追いかけるという取材のあり方を経験しました。人間は人間に一番関心がある。その中でタレントさんがおりなす愛憎を伝える。思いも寄らない仕事ですが、取材のしがいはありましたね。でもアンカー原稿は書けない。アンカーマンがいますから。立花隆さん、小中陽太郎さん......、錚々たるメンバーがいましたよ。梨元のデータ原稿は汚くてわかんなかったって、小中さんは未だに言いますよ。取材してきたら原稿書かないで喋れと。喋ると面白かったらしいんですね。だから、ボクはライターじゃなくてスピーカーって言われてた(笑)

 

そんなとき、テレビの安易さで、週刊誌の人を集めてスクープを話し合うという企画が当時の『アフタヌーンショー』であったんです。それで講談社からも出すということになって、デスクが「スピーカーに行かせろ。あいつだったら何か喋るだろう」ってことで行かされた。それで、ボクの話が面白かったんでしょうね。「出演してみませんか」ということで、出ることになったんです。

 

みおなおみ 芸能レポーターというのは梨元さんが草分けになりますか。

 

梨元勝 造語なんですけどね。『アフタヌーンショー』の取材で、たまたまボクが三船敏郎さんの離婚問題で裁判を傍聴していたんですよ。当時はまだメモもできないから大変だったんです。三船さんの裁判は凄かったですよ。奥さんと憎悪の対決でね。そのとき『週刊文春』が、記事にしたかったんだけど傍聴してなかったということで、ボクに喋ってくれと言ったからボクはこんな感じでしたと話したんです。それでコメントとして掲載するとき、肩書きは「芸能評論家」にしましょうかと言うから、いや、ボクたちは評論じゃないし、当時は評論家じゃないものをやろうということでレポーターをやっていた。そこで、「芸能」の「レポーター」ということで「芸能レポーター」ということになったと。つまり、『週刊文春』の三船裁判記事のおかげで「芸能レポーター」という言葉がうまれたわけです。

 

みおなおみ 昔のワイドショーに比べて、今のワイドショーはどのへんが違いますか。

 

梨元勝 週刊誌っていうのは、新聞の1行、2行を拡大して記事を作ってきたわけです。小さい事件をどれだけ人間的問題に広げられるか、ということですよ。そうやって、『週刊新潮』や『女性自身』の草柳大蔵、『週刊明星』や『週刊文春』の梶山季之といった人たちの時代があったわけです。

 

テレビも同じ手法ですよ。僕らが突撃で行ったのは、否定なら、それを現場に行ってインターホン越しのやりとりを通して視聴者に自然に伝えようということです。発表リリースとか、クラブの協定とか、もらい下げの情報で済ませないということ。協定なんていちばんよくないことですよね。それが当時は通ったんです。相手もわからなかったから。

 

ところが、それが画面ではっきり映るテレビでやることでインパクトがあるから、相手はこれではいかんということになった。そこで音事協やジャニーズ事務所やバーニングなどが攻勢に出て、テレビは無策だからどんどん浸食されちゃった。

 

みおなおみ 番組自体もそうですが、女子アナのタレント化が顕著ですね。

 

梨元勝 フジテレビの局アナで、アヤパン(高島彩)ているんですね。それが「ゆず」の北川悠仁と付き合っていて屋久島に行ったわけです。それをこっちは情報を集めて「東京スポーツ」に書いた。で、東スポは「結婚近し」とか書いたんじゃないですか。そしたら、アヤパンの友だちのチノパン(千野志麻)だかナニパンだか知りませんが、彼女がフリーになって日テレの番組に出ていて、「ちょっと旅行しただけで結婚なんて書かれちゃ、たまんないわよね。いいじゃない、どこに行ったって」って、公共の電波で何の恥じらいもなく堂々と言うんですね。

 

「ほー、そうですか。2泊も3泊もセックスしながら行ってて、それを結婚じゃなくても平気でするのがフジテレビなんですか」っていうのがこちら側の反論ですよ。それだけ麻痺してるんですよ、彼女たちは。ウチの娘(梨元麻里奈)が、勝手に結婚前に屋久島に知らない男と行ったら怒りますよ。それが普通の感覚でしょう。もう、彼女たちがズレてるんですよ。

 

彼女たちは、パリとかニューヨークとかの支局に1回行って、30歳になったら配置転換になるってわかってるんです。その前に、IT長者捕まえるか、野球捕まえるか、相撲捕まえるかなんですよ。妊娠は黙って河野景子みたいに後で発表する。彼女はお腹が大きいのに、ずーっと「違う(妊娠じゃない)、違う」って言い張って、結局結婚して5ヶ月で生んでるんだからね。貴乃花(息子の方)は前の宮沢りえのときに、「結婚を取るか、相撲を取るか」と両親に迫られて、りえを取らなかったわけですよ。それが、河野のときも同じこと聞かれて、今度は「結婚を取ります。妊娠してますから」と答えた。

 

まあ、これは人に聞いた話ですけど、婚約指輪だけ見せちゃってね。みんなレポーターが直撃するじゃないですか。普通なら、「困ります」っていうと、こう(手で遮るポーズ)するじゃないですか。ところが、彼女はそういいながら(手のひらをひっくり返して指輪を見せる仕草をして)こうですからね(笑)。この人たちはこういうところで生きているんだなあ、と思いましたね。

 

みおなおみ 芸能人とプライバシーの問題はどうでしょうか。

 

梨元勝 それは100%ないとは言いません。ただし、それを商売にしている例はいっぱいありますよね。五木ひろしだってね、デビューする時は100人斬りだか千人斬りだかやってましたよ。でも彼は何回か名前を変えて再デビューし、売れるとその話には「プライバシー」のヴェールをかけてしまった。ではそれをどこまで報じていいか、その善し悪しはどう判断すればいいかということですけど、結局は受け手側の判断ですよ。

 

昔、朝日新聞で村長のスキャンダルを馬乗りになって写真を撮ったというのがあるんですよ。では、ボクたちが、タレントがベッドインしているとこを勝手に入って、ベッドインしている上から「お気持ちはどうですか」ってやったら、そりゃやり過ぎだろうけど(笑)

 

みおなおみ そういうときの「お気持ち」なら、「いい」に決まってますしねえ。ははは。

 

梨元勝 マンションやホテルから出てくるところなら、受け手側の判断でしょうね。やり過ぎだって言ったらやり過ぎでしょうけど、やり過ぎとは言われないかも知れない。

 

ビートたけしが、かつて『フライデー』を襲撃した時の理由は、付き合っていた女子大生の話を書かれたからですよね。その裁判を傍聴していると、たけしは「家族を守るためにやった」と言ったんです。すごく説得力ありましたよ。ところが、そのときたけしは別居していたんですよね(笑)。上方少女漫才出身の奥さんは大阪に行って、旧知のお笑いの人(笑福亭枝鶴=六代目笑福亭松鶴の実子)との不倫スキャンダル騒動がありました。

 

「家族」を持ち出したのはたけしというより、弁護士の戦術かもしれませんが、いずれにしても「プライバシー」というのは都合良く利用されるんです。

 

馬乗りになって「今のお気持ちは?」と聞こうとまではいいませんけど、プライバシーは一概に「守るもの」とは言い切れないですよ。プライバシーを使って売り出す場合もあれば、プライバシーを逃げ道にして反論する場合もあれば、裁判で使う場合もあるんだということですよね。

 

みおなおみ 前田忠明さんとの関係はどうなんですか?

 

梨元勝 始まりは、ボクが『ヤングレディ』で駆け出しで、前田さんが隣の『女性自身』でね。同じ音羽の講談社と光文社ですから。こんなことがあったんですよ。会社の前に寿司屋があるんですけど、ある日入ったら、いきなりデスクが挨拶もしないで、「梨元、お前昨夜は俺の悪口で盛り上がったな」って言う。どうしてバレたんだろう。そのとき一緒にいたカメラマンは絶対に言わないと思うし、誰だろうって思い出したら、たしか前田忠明が横にいたんだよね(笑)

 

みおなおみ うっ、いましたか(笑)

 

梨元勝 隣の編集部ですよ。会社が違うんだから。普通、ヨソの会社の人間に告げ口なんかするかって。そこからボクとの歴史は始まるんです(笑)

 

以下は、『紙の爆弾』(2008年2月号、3月号)で.....


 
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