
仏教における「中道(ちゅうどう)」とは、快楽主義と苦行主義という二つの極端を離れ、偏らず、とらわれのないバランスの取れた生き方・考え方のことをいいます。創価学会を母体とする公明党も「中道」を標榜していますが、仏教の本来の意味とは異なるようです。
公明党が、立憲民主党と新党を作るそうですが、その名称が「中道改革」とか。
たしかに、公明党はかねてから「中道」を標榜してきました。
ところで、この「中道」とはどんな意味でしょうか。
「中道」といえば、やはり私は、仏教を連想します。
公明党の母体である創価学会が、日蓮正宗系の寺院の信徒団体(現在は破門)であることから、仏教が語源であると思われているようですし、公明党もそう説明しているのかもしれません。
ただ、結論から書くと、公明党の言う「中道」と、仏教の「中道」は、意味も目的も違います。
仏教の言う「中道」とは……
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— NHKニュース (@nhk_news) January 15, 2026
仏教では、お釈迦様が厳しい修行をしても、何もさとれなかったので、「厳しけりゃいいってもんじゃないよな。そもそも厳しくすべきか楽にすべきか、という二元論自体がおかしい」と気付き、第三の道として考えられたのが「中道」という概念です。
私たちの生活に例えると、今は言わないのかもしれませんが、四当五落なんて言葉がありました。
4時間睡眠で猛勉強すると合格するが、5時間も眠ってしまうと勉強時間が足りなくなって不合格になるというものです。
しかし、現代では睡眠不足による認知能力の低下で勉強効率が落ちるため、6時間以上の睡眠を取ることが推奨されていますし、そもそも勉強時間ではなく、勉強の仕方(質)こそが本質ではないか、という見方もあります。
仏教の「さとり」もこれと同じで、自堕落(煩悩まみれ)な生活でもだめだが、だからといって、ただ苦行すればさとれるのではなく、心のあり方そのものを変えないといけない、というわけです。
これは、「楽」か「苦」かという選択ではなく、心のあり方を変えるという次元の違う第三の選択肢のため、中道といいます。
4時間は苦しいけど5時間で不合格なら、間を取って4.5時間にしよう、とかいういう「中道」ではないのです。
公明党の言う「中道」とは……
一方、公明党のいう「中道」は、その時々の左右の政治状況の、真ん中を取ろう、という意味での「中道」のようです。
公明党が言う「中道主義」の意味
・左右のイデオロギー(保守・革新)のどちらにも偏らない政治路線。
・人間主義・福祉・平和を重視した政策を、中庸な姿勢で実現しようとする立場。
公明党は、公明政治連盟を前身として1964年に結成。
血統当初から「中道政治」を旗印に掲げています。
公明党宣言では、「保守でも左翼でもない、民衆のための中道政治」を強調。
公明党の“中道”は、仏教の「中道」を政治理念に翻訳したといい、「人間尊重・平和主義・社会正義・福祉重視」を軸とすると標榜しました。
当時の左右対立(自民党 vs 社会党)の構図に対し、どちらでもない「第三の道」を提示したのです。
ですから、公明党の中道は、「思想的」よりも「政策的・実務的」な意味を帯びるようになります。
当初は自民党批判の立場をとっていましたが、社会党のイデオロギー的硬直にも距離をとったことで、実質的には右派寄りの「調整型政党」として機能し始めます。
その流れが、自公連立につながっていったわけです。
ただ、公明党の政治哲学の根本には、「人間主義に立脚した中道政治」という言葉があります。
福祉・生活支援・教育無償化など、「生活者目線」を重視する建前です。
人間主義の内容(創価学会・公明党の文脈で)
・人間の生命・尊厳・幸福を社会制度や経済よりも優先する。
・国家や党派の利益よりも、市民一人ひとりの生活・尊厳を中心に置く。
・利権・イデオロギー・権力の「極端」を避け、民衆の声を政治の中心に置く。
ここに、中道の精神が政治的に翻訳されています。
「人間主義」と「リベラル」
【中道】という言葉について
立憲民主党の思う『中道』と
公明党の思う『中道』とは 結構似てる様で似ていないと言うか
乖離している部分があるのではないか?
そのことはちゃんと押さえた上で考えて欲しい。これからのこと。仏教用語としての『中道』についての確認↓ pic.twitter.com/NF1mhDz9PC
— 支え合う社会@みんな選挙に行こう!!???? (@minasen_govote) January 15, 2026
では、今回新党をつくるという相手の立憲民主党というのはどういう党か。
立憲民主党の安住淳幹事長が党の立ち位置について、「穏健、中道、リベラルだ」と発言し、「穏健中道リベラル」を自らの路線として説明したり(2025年9月)、泉健太前代表が、自党を「中道とリベラルの旗手」と位置づける発言をしたりしていました。
つまり、立憲民主党も中道を自称しています。
しかし、公明党のような「人間主義」を掲げているわけではなく、人権・ジェンダー平等、選択的夫婦別姓、LGBTQなど「リベラル色」が比較的強い。
人間主義は、「人を大事にする」という、かなり抽象的で広い価値のスローガンで、リベラルは「どういう社会・制度がよいか」をめぐる、より具体的な政治思想・立場です。
ただし、人間主義と、リベラルは、必ずしも一致するとは限りません。
選挙は相対的なものなので、自民党政治にストップを掛けたほうがいいという民意が盛り上がれば勝つかもしれませんが、その後どうするんだろうと思います。
参議院や地方議会では、調整はなかなか困難だと私は思いますけどね。
たとえば、私の地元の東京都議は、立憲民主党が2人とったのと引き換えに、公明党が2人とも落としています。
みなさんは、いかが思われましたか。



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